FX初心者がFXルール作りで失敗しないために必要な思考
FX初心者がFXを始めるにあたっては、ネットや情報商材、本などから必ず何らかのFXルールを探そうとします。FXルールに明確な答えはありません。
しかし大半のFX初心者はこのFXルール作りの所で失敗します。
ここではまず、FX初心者がFXルール作りで失敗しないための5つの思考をお伝えします。
- FXルールはテクニカル分析でこそ成立する
- FX初心者はインジケーターを使ったテクニカルなルールを作るべき
- FXルールはどのインジケーターを使ってもよい
- FXルール通りにFXトレードを淡々とこなす
- FXルールの勝率と期待値を検証する
この5つの思考を解説します。
FXルールはテクニカル分析でこそ成立する
FX初心者の中には、ファンダメンタル取引によるFXルール作りを考えている人も多いはずです。
ファンダメンタル取引とは、例えばアメリカの失業率が上昇したので円高になりやすい、といった具合に経済指標や要人発言によってFXトレードをすることです。
一見、理にかなっているように見えますが、よく考えてみて下さい。
これらファンダメンタル要素を加味してトレードをしてFX初心者がすぐに勝てるわけがないのです。
世界中には大口投資家やベテラントレーダーが星の数ほどいます。彼らが何年もかけて研究しても、やっと年率20%ぐらいの利益を得られれば御の字という世界なのです。
彼らはFX初心者をカモにすることで稼いでいます。アメリカの失業率が上昇したので円高になりやすいという特性を逆手に取り、ほんの数秒だけ大量の売り注文を浴びせて円安方向にレートを動かしてFX初心者の動揺を誘い、FX初心者がそれに吊られて売り注文を出した所で、数秒間の売りエントリーを経てすぐに買い決済し、本来の方向である円高方向へ一気に突き進むといったいわゆる『ダマシ』は日常茶飯事で起こっています。
ダマシに遭ったFX初心者は泣く泣く損切りをするというのが典型的なFX初心者の失敗パターンです。
FX初心者が失敗せずFXの世界で生き残るには、世界中のベテラントレーダーと違う戦略で戦わなければなりません。
プロがやってもなかなか当たらないファンダメンタル取引でのFXルールにこだわるより、身近に教材も多くあってそれなりの有効性を期待できる『テクニカル分析』でFXルールを作るべきなのです。
それも複雑なものではなく、できるだけシンプルで簡単なFXルールです。
FX初心者は、広く浅くより狭く深くのFXルールで局所的に勝負をするべきなのです。
ファンダメンタル分析によるFXルールはあまりにも抽象的すぎるのです。FXルールはテクニカル分析によってのみ成立するのです。
テクニカル分析は世界中の多くのFXトレーダーが取り入れている手法であり、多くの人がそのFXルールを意識して取引しているということは、それだけFXルールが効きやすいことを意味しています。
FX初心者がFXトレーダーとして生き残るためには、テクニカル分析によって自分なりのFXルールを確立することが極めて重要であることを常に意識してください。
FXルールと言ってもそれほど大層なことではありません。ネットや書店の本に載ってあるテクニカル分析の中で自分に最も合いそうなFXルールを選択すればいいだけなのです。
この記事でもFX初心者向けの簡単なFXルールを複数紹介しますので、ぜひ取り入れてみてください。FXルールというものを実感して頂けるはずです。
FX初心者はインジケーターを使ったテクニカルなFXルールを作るべき
FX初心者がFXルール作りをする際の代表的な失敗例としては、FXルール自体が個人の裁量による部分が大きく抽象的になってしまっている場合が多いのです。
具体的には、例えば『ダウ理論に基づいたライントレード』という有名なFXルールが挙げられます。
FXチャートを見たときに目立つ安値同士をラインで結んで、そのラインを下回ってなければ上昇トレンド相場が継続すると判断するであるとか、ポイントになりそうな安値に水平線を引いてそこを切り下げなければ上昇トレンド継続、切り下げれば下降トレンドに転換したと判断するといったFXルールです。
しかしこのFXルールには大きな問題があります。
それは『目立つ安値』や『ポイントになる安値』をどうやって判断するのか、です。この判断の際に必ず裁量(個人の主観)が入ります。
FXチャートを見て頂ければ分かりますが、安値と一口で言っても様々な安値が存在しています。
FX初心者がFXチャートを見て的確にラインを引くという作業は不可能なのです。
FX初心者が作るFXルールには、裁量の入る余地があってはならないのです。
厳格なFXルールで誰がやっても同じ結果になるようなルールでなければ意味がないのです。
ここを肝に銘じておいてください。ではどうやって裁量の入らないFXルールを作るのか。
それは、FXチャートにすでに搭載されているインジケーターをそのまま使っただけのFXルールを作ることで解決します。
FXチャートには、移動平均線・ボリンジャーバンド・RSI・MACD・ストキャスティクスなど、様々なインジケーターがすでに搭載されています。
これらをそのまま使ってFXルールを作るのです。
これであればFX初心者にとってもハードルは低くなります。
FX初心者は裁量を入れずに素直にインジケーターの使用によってFXルールを作るべきであることを覚えておいて下さい。
FXルールはどのインジケーターを使ってもよい
では初心者はどのインジケーターを使ってFXルールを作ればよいのか。
結論から言いますと、FXルール作りにはどのインジケーターを使ってもよいのです。インジケーターによる勝率の優劣という議論には実は意味がないのです。
どのインジケーターを使っても、利益確定:損切り=1:1という条件下でFXトレードをすれば、本やネットに出ているFXルール通りにやったとすると勝率は60%前後の所に落ち着きます。
この勝率をどう見るかです。利益確定:損切り=1:1での勝率60%は、十分に合格点なのです。
これを淡々と繰り返していけば、中長期的には必ず利益が出ます。
FXルールで使うインジケーターには、レンジ相場で強いものとトレンド相場で強いものがあります。
大きくはこの2種類です。
各インジケーターの長所を生かすには『今の相場がレンジ相場なのかトレンド相場なのかを何らかの手法で判断する』ことが最重要ポイントになります。
エントリーで使うインジケーター自体は何でもいいのです。今がレンジ相場かトレンド相場かを判断し、レンジ相場であればレンジ相場に強いインジケーターを、トレンド相場であればトレンド相場に強いインジケーターを使うだけなのです。
相場環境を判断するための『何らかの手法』については後述しますが、ここでも裁量を入れずにインジケーターの組み合わせによって誰でも同じ結果になる手法を使います。
FX初心者の失敗で多いのは、1つのインジケーターで結果が出なかったときに、検証もせずに次のインジケーターを探しに行き、それもうまくいかなければまた別のインジケーターを探し回るというパターンです。
これでは腰を据えたFXルール作りなんて到底できません。
FX初心者のFXルール作りにおいては使用するインジケーター自体はどれを使ってもよく、そのインジケーターが機能しやすい相場を判断することのほうがはるかに重要なのです。
FXルール通りにFXトレードを淡々とこなす
FX初心者にとって、FXルール通りにFXトレードを淡々とこなすことは意外と難しいです。
なぜなら、FX初心者は感情に任せてFXトレードをしやすいからです。レートがエントリー方向と少し逆行しただけでも不安や焦りや腹立たしさを感じてしまいます。
このような感情が入るとFX初心者は必ず負けます。これもまたFX初心者が陥りやすい失敗例です。
FX初心者が感情的になるように大口投資家やベテラントレーダーは罠を仕掛けてきます。
FX初心者がFXで勝ち組になるためには、絶対に感情的にならないことです。
そのためには自分で作ったFXルールを絶対に曲げずに淡々と貫き通す必要があるのです。
FXルール通りにさえやっていれば、中長期的に見れば大敗することはまずありません。
FXは買いか売りかの二択なので、何のルールも無しに適当にエントリーしても勝率は50%です。
そこに多少の優位性あるルールを使えば、勝率が50%を下回ることはないのです。こうやって確率で考えるとFXを冷静に見つめることができるのです。
FX初心者が自分で作ったFXルール通りに淡々とトレードをこなせるようにするには、訓練が必要です。
いきなり最初から感情を一切抜きにして淡々とトレードできる人はいません。
まずは少額でトレードをスタートし、感情を抑える訓練をしてください。
感情的になるのはそこにお金が動いているからです。その動くお金が少額であれば感情的になることもありません。FX初心者が取り組むべきは、そこからです。
FX初心者が失敗せずにFXで勝ち組に入る最短ルートは、FXルール通りに淡々とFXトレードをこなすことなのです。このことを常に意識しておいて下さい。
FXルールの勝率と期待値を検証する
FXルールに自信を持って貫き通して淡々とFXトレードをこなすためには、そのFXルールの勝率と期待値を検証することが極めて重要になります。
例えば勝率が60%、期待値が1以上であれば、そのFXルールを続ければ中長期的に見れば必ず勝ち組に入れます。
この事実が事前に把握できているのと把握できていないのとでは雲泥の差が出てきます。
把握できていれば、多少連敗が続いても感情が揺れることなく『トータルで見ればこのFXルール通りやり続ければ勝てるのだから気にしない』と自信を持って、そのFXルールを貫き通せるのです。
ここでFXルールにおける勝率と期待値という考え方について解説します。
まず勝率についてです。
FXの勝率とはその名の通りFXトレードで勝てる確率のことです。
しかし勝率という言葉には落とし穴があります。
それは『何を持って勝ちとするのか』です。
例えば、利益確定を1pips、損切りを100pips地点に設定すれば、何も考えなくとも誰でも100戦98勝ぐらいできます。
これでいくと勝率は98%となります。
誰がやっても勝ち組になれると勘違いをしてしまうほどです。しかし、残りの2回の負けが100pipsも負けるのです。
この場合で言えば、勝ちトレードで得られるのは98pips、負けトレードでは200pipsのマイナスです。トータルでは102pipsのマイナスになるのです。勝率98%でも負け組なのです。
結論を言いますと、特にFX初心者は勝率の数字だけに惑わされないで頂きたいということです。
よく『勝率90%の必勝法』『驚異の勝率80%の手法』などといった謳い文句で様々な情報商材が販売されていますが、全く意味のないフレーズなのです。
厳しい言い方をすればFX初心者を騙すためのキャッチコピーなのです。
何を持って勝ちとなすのか、もっとストレートに言えば『どこで利益確定するのか』、そして『利益と損失の比率を鑑みたときに期待値が1以上になっているかどうか』だけが重要なのです。
この最重要ポイントを明確にしている情報商材は皆無です。
FX情報商材の販売者側からすると都合の悪い話だから(つまり長期的には勝てないから)です。
では次に、期待値の考え方について説明します。
期待値とは、『利益金額平均÷損失金額平均』で弾きだせます。これが1以上になっていれば、そのFXルールを淡々とこなせば必ず利益が出せます。
逆に1以下であれば、FXルール自体を改善する必要があります。この期待値を算出する際の『総利益額』は、『勝ちトレードでの平均利益額』×『勝率』で算出できます。
同様に『総損失金額』は、『負けトレードでの平均損失額』で算出できます。
具体例を挙げます。
例えば利益確定:損切り=1:1で、それぞれを20pipsに設定したとします。
1ロットでトレードをしたとして、勝てばプラス2,000円、負ければマイナス2,000円になるようなトレードだとします。
このトレードの勝率が60%であれば、利益金額平均は2,000円×0.6=1,200円です。
そして損失金額平均は負ける確率が40%なので2,000円×0.4=800円です。期待値としては、1,200÷800=1.5です。極めて優秀な数値です。
つまりこのFXルールに基づいて淡々とFXトレードを繰り返せば、FX初心者であってもやればやるほど利益は増えていくということです。
では、利益確定:損切り=3:1で勝率が30%のFXルールならどうかも検証してみます。同じく1ロットでFXトレードしたとして、今度は利益を3倍に伸ばしていますので、勝てば6,000円、負ければ2,000円です。
勝率30%です。よって利益金額平均は6,000円×0.3=1,800円、損失金額平均は、2,000円×0.7=1,400円です。期待値は1,800÷1,400=1.28です。
これも期待値は1を超えているので、FXルールとしてやり続ける価値があると判断できるのです。
では同条件で利益確定:損切り=1:2、勝率が60%ならどうか。利益金額平均は2,000円×0.6=1,200円、損失金額平均は4,000円×0.4=1,600円となり、期待値は1,200÷1,600=0.75となり、このFXルールではFXトレードすればするほど負けることになります。
FX初心者のうちから、ぜひこの『勝率』と『期待値』の考え方を覚えておいて下さい。
そしてFXトレードごとにエクセルなどを使ってFXトレード記録をつけておき、そのFXルールがしっかりと期待値1以上になっているかを検証してください。
勝率だけでなく期待値が1以上をキープできていることを理論的に把握できているかどうかが、FX初心者がFXで勝つための大きなポイントになってきます。
FX初心者が環境認識するための具体的手法
FXのルールを作るにあたってはどのインジケーターを使用してもいいですが、肝心なことは『まずは今の相場がレンジ相場なのかトレンド相場なのかを判断すること』と前述しました。
レンジ・トレンドのいずれの相場なのかを判断することをFXの世界では『環境認識』と言いますので、今後は環境認識という言葉を使っていきます。
エントリーを考えるに当たっては、まず環境認識をします。環境認識が終わった後に、エントリーを考えます。この順番をよく覚えておいてください。焦らずまずは環境認識です。
- 大きな時間足を見て環境認識をする
- 多くのトレーダーが使っているインジケーターで環境認識をする
- 平均移動線は視覚的に最も環境認識しやすいインジケーター
- RSIは数値的に最も環境認識しやすいインジケーター
- ボリンジャーバンドはFX初心者が環境認識しにくいインジケーター
では、FXトレードにおける環境認識をするための具体的手法について5つのポイントに分けて解説します。
大きな時間足を見て環境認識をする
FXチャートを見て頂くと分かりますが、FXチャートには多くの時間足があり、FX初心者はどれを使っていいか迷うはずです。
FX初心者は、取引エントリーでは5分足チャートを使い、トレンド相場かレンジ相場かの環境認識に1時間足チャートと4時間足チャートを使うことをおススメします。
エントリーの判断の際、1分足チャートでは慌ただしすぎるのです。
1分足はノイズ(ちょっとしたイレギュラー、価格の乱高下)が発生しやすく、FX初心者には向いていません。
また、環境認識をする時間足として日足や週足を使うと期間が長すぎて、目先のトレードの環境認識としてはあまり意味をなさないからです。
エントリーでは5分足を使い、環境認識としては1時間足チャートと4時間足チャートという長めの時間足を使うのが最もバランスが良いのです。
大まかな見方としては、1時間足チャートと4時間足チャートの両方で上昇トレンドを示していれば上昇トレンド相場と判断します。
1時間足チャートが上昇トレンドで4時間足チャートが下降トレンド、もしくは1時間足チャートが下降トレンドで4時間足チャートが上昇トレンドであればレンジ相場と判断します。
そして1時間足チャートと4時間足チャートの両方で下降トレンドを示していれば下降トレンド相場と判断します。
まとめると、1時間足チャートと4時間足チャートが同じ方向性を示していればその方向へのトレンド相場、1時間足チャートと4時間足チャートの方向性が真逆であればレンジ相場と割り切って決定してしまうということです。
FX初心者にとっては、この割り切りが非常に重要です。
この環境認識をしても3~4割は外れますが、そこの3~4割の負けを気にしてはならないのです。
6~7割は当たるので、負けても気にしないことが大切です。トータルで勝ち組になるためにはこうした割り切りが必要なのです。
多くのFXトレーダーが使っているインジケーターで環境認識をする
FXのインジケーターは多種多様ですが、FX初心者の環境認識では、多くのFXトレーダーに使われているメジャーなインジケーターを使用した方が環境認識の確度は上がります。
前述で『エントリーで使用するインジケーター自体は何でもよい』と書きましたが、それはエントリーする際のインジケーターは何でもよいということです。
FX相場の環境認識をする際にはできるだけ多くのトレーダーが意識しているインジケーターを使った方が若干有利になります。
多くのFXトレーダーに使用されているインジケータの代表格が『平均移動線』『RSI』『ボリンジャーバンド』です。この3つはインジケーターの御三家と言っても過言ではありません。
これらは世界中で最も使われているインジケーターなので、多くの人がこれらのインジケーターを使っての環境認識を意識しており、意識されているということはそのインジケーターが効きやすいことも意味しています。
FX初心者だからこそ、まずは王道のインジケーターを使って環境認識をして下さい。
では、この3つのインジケーターを使って環境認識をする手法を説明します。
平均移動線は視覚的に最も環境認識しやすいインジケーター
平均移動線は、右肩上がりになっていれば上昇トレンド中であることを意味し、右肩下がりになっていれば下降トレンド中であることを教えてくれるインジケーターです。
世界中で最も使われているインジケーターなので、レートが平均移動線の上にあるのか下にあるのかが常に意識されていることになります。
平均移動線はFX初心者にとっても視覚的に非常に分かりやすいというメリットがあります。
右肩上がりか右肩下がりかは一目で分かるからです。
ただし、平行に近い状態のときはレンジ相場を意味しているのですが、どこからを平行に近い状態かを判断するかが抽象的になりやすいというデメリットもあります。
ですのでFX初心者の時は、どう見ても右肩上がり(右肩下がり)になっている局面でだけFXトレードをするよう心掛けて下さい。
少しだけ右肩上がりだがよく見ると平行に近い、という微妙なチャートの時はFXトレードせず、大きな動きが出るまで待機するのです。
平均移動線と一口で言っても、その設定方法によって無数の平均移動線があります。これはインジケーターの編集によって自由にパラメーターを設定できるからです。
FX初心者の時は、パラメーターをあれこれ触って最も相場に合いそうな設定にしようと苦闘します。
これはFX初心者にありがちな失敗例です。
結論から言いますと、FX初心者がパラメーターを色々と触った所で結果は変わらない、いえ、むしろ悪くなります。
FX初心者はベテランFXトレーダーとは違って、できるだけシンプルな戦い方をすべきなのです。
最もシンプルで効果的なものを1つ記しておきます。
それは『平均移動線100EMAだけを1時間足と4時間足に表示する』です。
平均移動線100EMAの設定方法は、インジケーター編集のパラメータ入力の『期間』を100にします。
そして『移動平均の種別』でExponentialを選択します。
適用価格は何も触らずCloseのままで大丈夫です。
たったこれだけで平均移動線100EMAの完成です。これならFX初心者でも数分以内で平均移動線100EMAを作成できます。
平均移動線100EMAとは、平たく言えば直前の100本のロウソク足の値動きの平均値を線で表してくれています。
100という数字は区切りの数値であり、世界中から意識されやすい数値なので機能しやすいのです。
FX初心者がより最短ルートで勝ちを得るために、シンプルかつ効果的なものだけをお伝えしました。見方は非常に簡単で、レートが平均移動線100EMAより上にあれば上昇トレンド、下にあれば下降トレンドと判断します。
これを環境認識で活用します。
1時間足チャートで100EMAより上、4時間足チャートでも100EMAより上にあれば上昇トレンド相場と判断決定します。
もし1時間足チャートで100EMAより上(下)、4時間足チャートで100EMAより下(上)ならレンジ相場と判断決定します。
1時間足チャートで100EMAより下、4時間足チャートでも100EMAより下であれば下降トレンドと判断決定します。これだけで環境認識は終了です。
これならFX初心者でも慣れれば1分程度で環境認識することができます。
RSIは数値的に最も環境認識しやすいインジケーター
環境認識における2つ目のおススメインジケーターがRSIです。
このインジケーターは、現在の相場が売られ過ぎなのか買われ過ぎなのかを数値で示してくれますが、環境認識ではこの数値を利用します。
設定は何も触らず、元々FXチャートに搭載されているデフォルトのままで大丈夫です。
RSIは0~100までの数値があります。
よく情報商材や本では『70まで上がったら買われ過ぎなので売りエントリー』『30まで下がったら売られ過ぎなので買いエントリー』といった内容が推奨されていますが、いったんこの考え方は置いといて下さい。
この考え方は、後述するエントリーの際に使います。
FX初心者の失敗例として、環境認識とエントリー判断を混合してしまうことがよくあります。環境認識と実際のエントリー手法は別物であると覚えておいて下さい。
RSIを使った環境認識では、『50以上なら上昇トレンド』『50未満なら下降トレンド』と割り切って判断をします。
具体的には、1時間足チャートRSIが50以上で4時間足チャートRSIも50以上なら上昇トレンドと判断決定します。
1時間足チャートRSIが50以上(50以下)で4時間足チャートRSIが50以下(50以上)ならレンジ相場と判断します。
1時間足チャートRSI、4時間足チャートRSIともに50以下なら下降トレンドと判断決定します。
RSIは数値だけで客観的に環境認識ができるので、これであればFX初心者であっても簡単に環境認識することができますし、裁量の入る余地がないので誰がやっても同じ環境認識をすることができます。平均移動線と同様、非常にFX初心者向きのインジケーターと言えます。
ボリンジャーバンドはFX初心者が環境認識しにくいインジケーター
続いて3つ目はボリンジャーバンドです。
このインジケーターも広く世界のFXトレーダーに使用されている有名インジケーターです。
しかしFX初心者の環境認識ではおススメはしません。
ボリンジャーバンドはエントリーの際の判断基準としては有効ですが、相場状況を知る環境認識には適していないのです。
ボリンジャーバンドは線が広がったり狭まったりしています。線が広がっていっている時がトレンド相場、線が狭まってきていたり平行になっている時がレンジ相場という判断になります。
しかし、ボリンジャーバンドの線が広まり始めたかどうかは抽象的で、後になって初めて分かるというケースも多いのです。特にFX初心者がボリンジャーバンドの収縮具合を判断するというのは難易度が高いです。
ボリンジャーバンドは環境認識というよりはエントリー判断基準として活用するのが望ましいのです。その点については後述します。
FX初心者がエントリーするための具体的手法
ここまでで、FX初心者であっても環境認識できる手法をお伝えしてきました。
これで、今の相場が上昇トレンドなのか下降トレンドなのかレンジ相場なのかを把握できるようになりました。ここからは、実際のエントリーはどうすればよいのかを見ていきます。
- エントリー判断基準では5分足を使う
- 平均移動線を使ったエントリー手法
- RSIを使ったエントリー手法
- ボリンジャーバンドを使ったエントリー手法
- どのインジケーターを使っても大差ない
以上の5つのポイントを解説します。
エントリー判断基準では5分足を使う
先ほどの環境認識の所では1時間足チャートと4時間足チャートを使いました。
そして実際にエントリーをする際には、5分足チャートを使います。
ざっくり言ってしまえば、大きな時間足で環境認識をして上昇トレンド相場なのか下降トレンド相場なのかレンジ相場なのかを判断をして、小さな時間足でエントリーのタイミングを合わせて環境認識した方向へエントリーするということです。
平均移動線を使ったエントリー手法
環境認識の所で使った平均移動線100EMAを5分足チャートでも表示させます。
これだけで準備完了です。ではFX初心者向けの具体的エントリー手法を解説します。
環境認識で『上昇トレンド』と決定した場合は、買いでエントリーすることだけを考えます。あとはタイミングを5分足チャートで合わせるのです。以下3つの条件が重なったときに買いエントリーします。
- 5分足チャートの平均移動線100EMAより上にレートがある。
- 5分足チャートの平均移動線100EMA付近までレートが落ちてきている。
- 5分足チャートの平均移動線100EMAで反発して陽線でロウソク足が確定。
この瞬間に買いエントリーします。押し目買いという手法で、かなりポピュラーな手法です。
環境認識で『下降トレンド』と決定した場合は、売りでエントリーすることだけを考えます。以下3つの条件が重なったときに売りエントリーします。
①5分足チャートの平均移動線100EMAより下にレートがある。
②5分足チャートの平均移動線100EMA付近までレートが上がってきている。
③5分足チャートの平均移動線100EMAで反発して陰線でロウソク足が確定。
この瞬間に売りエントリーをします。戻り売りという手法で、これもポピュラーな手法です。
環境認識で『レンジ相場』と決定した場合には、エントリーを見送ります。
平均移動線はトレンド相場でこそ威力を発揮するインジケーターです。
レンジ相場では平均移動線のメリットを生かせませんので、トレード自体を見送るのです。
FX初心者の時は、とにかくエントリーしたい、取引したいという衝動にかられるものですが、エントリーせずに見送ることもまた、立派なFXトレードなのです。
RSIを使ったエントリー手法
環境認識の所では、RSIが50以上かどうかでトレンド・レンジの相場判断をしました。
ではエントリーの際にはRSIをどう使うかを説明します。
環境認識で上昇トレンドと判断した場合、5分足チャートのRSIの値が40を切った所で買いエントリーで入ります。
これは分かりやすく言えば、全体としては上昇トレンドの中で5分足RSIが40を切る所まで下がってきているということは、そろそろ上昇に戻る可能性が高いということです。
本来は上昇傾向なのに小さな時間足(直近)では売られ過ぎになりつつある状況から買いエントリーを狙うということです。
このように、直近の動きと真逆のエントリーをすることをFX業界では逆張りトレードと言います。RSIは逆張りトレードの際標的なインジケーターなのです。
環境認識で下降トレンドと判断した場合、5分足チャートのRSIの値が60を上回った所で売りエントリーで入ります。
全体としては下降トレンドの中で5分足RSIが60を上回る所まで上がってきているということは、そろそろ下降に戻る可能性が高いということです。
本来は下降傾向なのに小さな時間足で買い過ぎになりつつある状況から売りエントリーを狙うということです。
平均移動線を使ったエントリーに比べ、より機械的なエントリーができるのがRSIの利点です。
平均移動線の場合は傾きといった視覚的な概念が入りますが、RSIの場合は完全に数値だけで判断できるので、RSIを使ったエントリーもFX初心者に非常におススメの手法です。
ボリンジャーバンドを使ったエントリー手法
ボリンジャーバンドは環境認識には適していないインジケーターであると前述しました。
ですので、FX初心者はまず環境認識をする場合には、平均移動線かRSIを使って下さい。
その2つのどちらかを使って環境認識ができた後、エントリーを判断する場合にのみ、ボリンジャーバンドを使って下さい。
ボリンジャーバンドもRSIと同様に逆張りエントリーで活躍するインジケーターです。
環境認識ではなく、あくまでエントリーのタイミングを計るのに有効だということです。
エントリーの具体的方法を説明します。
まず平均移動線かRSIの1時間足チャートと4時間足チャートを使って相場の環境認識をして、全体の大きな流れが『上昇トレンド』と判断したとします。
この時、5分足チャートのボリンジャーバンドが-2αにタッチした所から買いエントリーで入ります。-2αは、ボリンジャーバンドで言えばかなり売られ過ぎの状態になっています。
平たく言えば、大きな時間足で全体的には上昇トレンドの中で、小さな時間足である5分足チャートで売られ過ぎの状態になった所から、本来の全体的な流れである買い方向へエントリーを仕掛けるということです。
ボリンジャーバンド5分足の-2αにタッチした地点から買いエントリーをすれば、まだまだ上昇の伸びしろがあるので勝ちやすいためです。
環境認識で『下降トレンド』であれば、5分足ボリンジャーバンドの+2αにタッチした所から売りエントリーで入って下さい。
もし環境認識が『レンジ相場』を示していれば、上記と同じエントリー方法になります。
-2αにタッチした地点から買いエントリー、+2αにタッチした地点から売りエントリーで入ります。
レンジ相場なので、ボリンジャーバンドの上限(下限)に到達した所からは反発して逆の動きになりやすいためです。FXトレーダーの行動心理を突いたエントリー方法です。
環境認識の柱である1時間足チャートと4時間足チャートが上昇・下降と真逆の方向感を示している時は、世界中のFXトレーダーたちも迷っています。
どちらに相場が傾くかは誰にも分からないのです。
分からない状況では、レートは狭い値幅での上下運動を繰り返します。例えば緩やかな上昇傾向ながらも環境認識としてはレンジ相場と判断した場合、買いエントリーで入っていたFXトレーダーは『トレンドかレンジかよく分からない相場なのでとりあえず微益だが利益確定(売り決済)して逃げておこう』となりやすく、同様に売りエントリーで入っていたFXトレーダーも『トレンドかレンジかよく分からない相場なので、いったん損切り(買い決済)だけして様子を見よう』となりやすいのです。
なので、買いと売りが拮抗したレンジ相場がしばらく続くのです。
FX初心者の時には他のFXトレーダーの行動心理を読むのは難しいはずです。
なので、FX初心者のうちは、シンプルにここで書いてあるルール通りにFX取引すればトータルで負けることはありませんので、ぜひ実践してみて下さい。
どのインジケーターを使っても大差ない
ここまで、環境認識としては平均移動線・RSIをおススメとし、エントリー判断では平均移動線・RSI・ボリンジャーバンドをおススメしました。
では、どのインジケーターが最も優秀なのかと疑問に感じるはずです。結論を言います、どのインジケーターを使っても勝率に大差はありません。
あえて言えば、環境認識でトレンド相場と判断すれば平均移動線が使いやすく、環境認識でレンジ相場と判断すればRSIもしくはボリンジャーバンドが使いやすいということだけです。
特にFX初心者の頃は、様々なインジケーターを試してみて、たまたまそれが成功すれば、そのインジケーターがさも優秀だという錯覚を抱きがちになります。
しかし、それは偶然、相場感がそのインジケーターにマッチしていただけです。統計データを取り、確率論で見ていけば分かります。
どのインジケーターを使っても結果は変わらないのです。FX初心者の失敗例としてよくある『インジケーターを探し続ける旅』には出ないようにして下さい。
この旅はFX負け組への片道切符になります。
あれこれ手を出しても結果はむしろ悪くなるだけです。シンプルに、世界中のFXトレーダーが多用している平均移動線かRSIかボリンジャーバンドを使って下さい。
エントリー後の利益確定と損切りの手法
ここまでで、1時間足チャート・4時間足チャートを用いた環境認識と、5分足チャートを用いたエントリー手法を説明してきました。
まだ1つ解説しなければならない項目があります。
それは『エントリー後の利益確定と損切り手法』です。簡単に言えば『どこで利益確定するのか』『どこで損切りをするのか』です。どこで手仕舞いするか、これが極めて重要になります。FX初心者が軽視しがちなポイントです。
前述の通り、FXは勝率と期待値を常に意識しておかなければなりません。
この勝率や期待値を導き出すためには、どれだけの平均利益・平均損失になるかを把握しておく必要があります。
そして、平均利益・平均損失を知るためには、どこで利益確定されるか、どこで損切りされるかを設定しておかなければならないのです。
もっと簡単に言えば何をもって勝ち・負けと決定するのかを明確に設定しておかなければならないのです。FX初心者はこのことを見落としがちなのです。
- 割り切ってpips数で設定する手法
- インジケーターATRを使って設定する手法
- ケースバイケースの抽象的・裁量的な手法は避ける
FX初心者でもすぐに実践できるントリー後の利益確定と損切り手法2つと、FX初心者がやってはならない手法をお伝えします。
割り切ってpips数で設定する方法
FX初心者に最もおススメの利益確定・損切り手法が、割り切ってしまってpips数で決め打ちしてしまう手法です。
具体的には、大きな時間足チャートでトレンド相場と判断していれば20~30pips、大きな時間足チャートでレンジ相場と判断していれば15pipsと設定してしまうのです。
エントリーした時点でこの値幅の地点に利益確定と損切りを入力しておいて下さい。FXチャート上では、エントリーしたときに『指値決済注文』という項目がありますので、ここで利益確定のレートを入力すれば利益確定の予約は完了します。
また、『逆指値注文』という項目もありますので、ここで損切りのレートを入力すれば損切りの予約が完了します。
FX初心者の頃には、こういったFX独特の用語が難しいと感じるはずですが、指値=利益確定、逆指値=損切りと覚えてしまって下さい。難しく考える必要はありません。
トレンド相場であれば、ドル円・ユーロ円・ポンド円・ユーロドルなど主要通貨のどれであっても20~30pipsはトレンド方向に動きます。
それだけの値動きがあるからトレンド相場と言うのです。逆に言えば、エントリー地点から20~30pipsもさらに逆行するようであれば、それはもはやトレンド相場という環境自体が転換し始めている証拠なのです。
トレンド相場であれば、トレンド方向に20~30pips以上は動く確率が高いので、この手法を紹介しました。
レンジ相場の場合は通貨によっても異なりますが、値動きの比較的小さなドル円であっても、15~20pipsぐらいの値幅の中は緩やかに動きますので、この特性を突いて15pipsで利益確定と損切りを入れてしまうという手法です。
FX初心者にとっても、pips数で利益確定と損切りを決められるのであれば、誰でも簡単にできる手法であり、FX初心者にぜひおススメの手法です。
インジケーターATRを使って設定する手法
ATRというインジケーターを使って利益確定と損切りポイントを決定する手法もお伝えします。ATRはアベレージ・トゥルー・レンジと言って、平均的な値動きの幅を示すインジケーターです。
『0.04』のように小数点で示されています。FXチャートに搭載されているデフォルトのパラメーターのままで使用して下さい。
このATRの数値を使います。
具体的には、ATRの数字を300倍したpips数の地点に利益確定と損切りを設定します。
例えばATRが0.06だと、0.06×300=18pipsです。エントリー地点から18pips離れた地点に利益確定と損切りの注文を入れておくのです。
ATRは直近の値動きから見て平均的にはおおよそこのぐらいの値幅の中でレートが動く、ということを示してくれています。
もちろん目安ですので、完全にこの通りにはなりません。
ただし、FXトレードにおいて利益確定と損切りをエントリー段階で設定しておくことは必須であり、そのためには何らかの論拠を持って設定する必要があります。
ATRは、裁量の入る余地が全く無く機械的に数値で判断できるため、FX初心者にとっても非常にありがたいインジケーターなのです。
ケースバイケースの抽象的・裁量的な手法は避ける
ここまで挙げた2つの手法がFX初心者にはおススメです。
誰がやっても簡単に、そして同じ結果になるからです。
最も避けなければならないのが、ケースバイケースによって利益確定や損切りのポイントが変わってくるような手法です。抽象的・裁量的な手法は避けて下さい。
例えば、上昇トレンドの際に平均移動線を使って買いエントリーをして、利益確定はレートが平均移動線を下回ってきた瞬間にする、といった手法です。
この手法は本当に多くの情報商材や本で語られています。しかしよく考えてみて下さい。
この手法では、勝率や期待値を正しく算出することは出来ないのです。
平均移動線を下回った瞬間に利益確定と言っても、その値幅はある時は10pips、ある時は50pipsといった具合にケースバイケースで変わってくるのです。
これでは正確な期待値は導き出せません。
FX初心者の典型的な失敗例です。
正しい期待値が分かっていないので自信が持てず、本来はもっと引っ張って利益を伸ばせる所を早めに利益確定してしまったり、正しい期待値が分かっていないので本来は損切りしないといけないポイントでも損切りせずにそのままポジションを保有し、資金が底を尽くのです。
FXは感覚や抽象的な理論でトレードしていては負けます。
厳格な数値を算出し、このFXルールならトータルで負けないという確固たる裏付けを持ってトレードしなければなりません。厳格な数値を把握するためには、利益確定と損切りの値幅を数値で把握できていないといけないのです。
FX初心者は、これさえできればすぐに初心者を卒業できます。
FXで勝ち組になるために、利益確定と損切りを機械的に算出することの重要性をぜひ意識しておいて下さい。
まとめ
・FX初心者がFXルール作りで失敗しないための5つの思考を徹底して下さい。特にFXルールの勝率と期待値を検証することが本当に重要です。
・FX初心者がFXトレードをする際には、エントリーの前段階の準備として、まずは相場の環境認識をして下さい。環境認識には1時間足チャートと4時間足チャートを使用します。
上昇トレンドなのか下降トレンドなのかレンジ相場なのかをここで判断します。
・環境認識するためのインジケーターとしては平均移動線100EMAもしくはRSIをおススメします。FX初心者であっても視覚的もしくは数値的に分かりやすいインジケーターです。
・環境認識が終われば、エントリーのタイミングを5分足チャートを使って見定めます。
エントリー判断として使用するインジケーターは、環境認識でも使った平均移動線・RSIか、ボリンジャーバンドがおススメです。いずれを使っても裁量なく機械的にエントリーすることができます。
・エントリー後の利益確定、損切りポイントの設定も裁量を入れず機械的に行います。
そのためには割り切ってpips数で設定してしまうか、インジケーターATRを使用すると便利です。
FX初心者は、ケースバイケースで利益確定や損切りの幅が抽象的になる手法は避けるべきです。
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